子育て

子ども達がリラックスできるように

人は緊張すると身体に様々な変化が起こります。ましてやお子様は、日常生活の中に初めての出来事が多く、大人以上に緊張する場面が多くあります。
そこで今回は、自律神経の観点から、緊張している時に起こる身体の変化や、リラックスについて記載します。

自律神経と神経発達症については様々な側面から研究がされてきました。
「自律神経」とは、内臓や身体機能を制御する神経のひとつで、「交感神経」と「副交感神経」の2つがあります。

自律神経系とつかさどる身体機能のイメージ図

「交感神経」とは、活発に活動をするときや、緊張、不安、危険などを感じている時にはたら活発になりやすい(亢進しやすい)とされています。
一方で「副交感神経」とは、リラックスしているときや、疲れた時、体力を温存したい時に亢進しやすいとされています。

このように状況や時間に応じて適度にバランスをとっている状態が、普段生活している時の状態です。

一方で、これら2つのバランスが崩れた際、過剰に興奮したり、パニックになったり、あるいは状況を問わず眠ってしまったり、といった日常生活の困り感が出やすいとされています。

例えば、日本一怖いお化け屋敷の中にいる状態で考えてみましょう。交感神経が特に亢進している時の例です。

すぐ逃げるために身体が動きやすいよう、心拍数と血圧は上がり、呼吸数も増えます。緊張感から、暗い場所で少しでも多くの情報を得るため瞳孔が散大します。また、身構えているため、色々な物音に気付きやすいように普段以上に多くの音をキャッチしようとして、雑音程度の音にも敏感になります。その分、近くでいきなり驚かされたら普段以上に大きな音に聞こえ、飛び上がって身構えるか、すぐに逃げ出すかと思います。

副交感神経が特に亢進している時はその逆の現象が起こります。要はリラックス状態です。
ただ、もちろん副交感神経が亢進しすぎることによって、心拍数の低下や、血圧低下などで、目眩、身体の怠さ、頭痛などが起こることもあります。

それでは神経発達症と自律神経の傾向にはどのようなものがあるのでしょうか。
2023年の大川ら1)の研究では、定型発達児童と比べ、放課後等デイサービスを利用している児童は、特に交感神経系の緊張度の高さや、精神的疲労の高さ、などを報告されており、定型発達児よりも緊張状態で日常生活を過ごしていることが明らかにされました

少しでも緊張状態が緩和された中で、リラックスして日常生活を過ごせると良いのですが、自律神経の機能そのものを整えるためには、運動や食事など日頃の継続的な取り組みが必要とされています。ですが、特性的な問題から必ずしも継続的に取り組めるものばかりではありません。

例えば偏食などは最たる例です。味覚や嗅覚に対する感覚の偏りによって、当事者の努力ではどうにもできない場合があります。それでも良かれと思って勧めたことが、当事者にとって苦痛となることもあります。

したがって、まずは少しでもリラックスしやすい環境や、安心できる材料、空間や時間などを見つけていくことで、日々の緊張から解かれる時間を設けていくことが、より子どもや当事者家族にとって生きやすい社会の構築に結び付くのではないかと思います。

その中で、子ども達や当事者家族にとって、継続的に取り組みやすい活動を探していくのも療育のひとつのあり方かと思っています。

文責:高野

参考文献:
1) 大川尚子,長谷川法子,福田早苗,藤岡弘季,治部哲也, 小山秀之,網代沙織,竹田達生,水野敬,倉恒弘彦(2023)放課後等デイサービスの児童生徒に対する睡眠と疲労の客観的健康評価, 京都女子大学養護・福祉教育学研究, 1, 1-9.
http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/bitstream/11173/3616/1/0125-001-001.pdf

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