2月に入りました。
少しずつ暖かくなっているためか、近所の梅の花が少しずつ開花し始めました。
さて、今回は発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder;DCD)について、記載できればと思います。
まず、DCDとは、いわゆる神経発達症(発達障害)の中に含まれる症状のひとつです。
かみ砕いて記載すると、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどではないけれども、運動が生活に支障が出る程度に苦手な症状のことを指します。
(※2010年代の海外の研究では、脳性麻痺の連続体として、DCDがあるとする研究例もあります)
運動が苦手と言うと、定型の方でも縄跳びが苦手ですとか、細かい作業が不器用など、あるかと思います。DCDの症状を大きく分けると、次のようなものが挙げられるとされています。
- 粗大運動の苦手さ(歩き方がぎこちなかったり、よく転んだり、ぶつかったりする)
- 微細運動の苦手さ(書字の苦手さや、ボタンやファスナーの着脱が難しいなど)
- 粗大運動と微細運動両方の苦手さ
例えば、キャッチボールをする場面です。ボールが飛んでくる様子を目で追うことは出来ていて、足もボールが飛んでくる場所に向けて動き出せていたとします。ですが、いざキャッチする場面で、手がキャッチするタイミングで動かず、顔面でボールを受けてしまうといったことがあります。
このDCDですが、他の神経発達症との合併率が高いことも明らかとなっています。
もちろん、不器用なお子様でも厳密にはDCDとは違う部分で苦手さがあることも少なくありません。神経発達症があって不器用だからDCDだ!という言い切れるわけではないことと、診断はあくまで医師しかできないため誤解なきよう…。
さて、このDCDですが、国内ではまだまだ他の神経発達症と比べると、認知されているとは言い難い状況です。
当然、他の神経発達症を合併していないことだってあります。普段から不器用さが目立ってしまうと、何も知らない周囲からはからかわれたり、練習を強要されたり、努力不足を指摘されたり(今のご時世少なくなっているかとは思いますが…)することも少なくありません。
定型の大人でも子どもでも、からかわれ、練習を執拗に言われ、努力や能力不足を指摘されていたら、しんどくなってしまいますよね。ましてやそれが頑張っているにもかかわらず、自分にとって相当難しいことであればなおさらです。
怒りが爆発することもあれば、自分に自信が持てず内気になってしまったり、人前に出るのが怖くなったり…。もちろん単なる怠慢で指摘を受ける場合は別ですが(汗)。
DCDは神経発達症の診断名です。現代医学における根拠に基づいてなされる診断です。DCDの不器用さは、努力不足や、練習不足などではなく、そのような症状なのです。
偏頭痛がある人に対して、「なんで頭痛の管理もできないんだ!頭痛を抑える努力をしろ!」なんて無茶苦茶なことを言ったりしませんよね。「頭痛薬を飲んだ方が良いよ」「病院で診てもらった方が良いかもしれない」と助言するかと思います。
つまりそういうことですね。
では何も打つ手が無いか?と言われれば、国内のリハビリテーション領域や、海外の研究者らによって少しずつ、DCDに対するアプローチ手段が用いられ始めている段階です。これを書くと長くなりますが、要するに打つ手もあれば、あきらめる必要もないこと、環境さえ整い、配慮があれば良いということです。
今回の記事のゴールは、DCDというものがあること。まだまだ認知されていないこと。無理してどうこうなるものではないこと。状況次第では症状の改善の可能性があることをお伝えできていればな、と思いつつ、いったん筆をおきたいと思います。
文責:高野
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