療育

注意欠如・多動症(ADHD)ってなに?

もうすぐ春ですね。
寒い日はまだありますが、お日様が昇っている時間はどんどん増えてきました。

本日は注意欠如・多動症(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder ; ADHD)について記載が出来ればと思います。この記事を読んで、無理強いしてどうにかなるものではない、ということを少しでも知っていただければと思います。

そもそもADHDとは何なのでしょうか?
簡単に言ってしまえば、不注意や多動、衝動性の高さが目立つ症状のことを指します。

文部科学省によれば、「ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである」と定義しています。

症状については以下のようなものが例として挙げられます。

  • 不注意:忘れ物が極端に多く生活に支障が出ている。些細な間違えが多い。
  • 多動性:じっと止まることが難しく、自分の意志で身体を止めることに難しさがある。
  • 衝動性:順番を待つことが難しい、あるいは人の話を聞き切ることが難しく被せてしまう。

ではどうしてこれらの症状が出ているのでしょうか?
2010年代以降においては脳の神経発達に起因しているのではないかとする説が有力視されています(triple pathway model)。
具体的には、以下の脳の部分と症状が関係しているのではないかとされています。

  • 不注意:前頭葉(脳のブレーキ役)
  • 衝動性:側坐核(脳のやる気スイッチ役)
  • 多動性:小脳(脳のスーパーコンピューター役)

これらの脳部位の神経発達、あるいは神経伝達物質のアンバランスさによって、ADHDの症状として表れているのではないかと言われています。
小難しい言葉がいっぱい出てきましたが、ドーパミン(興奮などと関係)なんかは私たちもよく耳にする神経伝達物質です。

ただし、いずれも現段階での有力視されている仮説にすぎないため、今後変わってくる可能性があります。

ただ、ここまで記載している通り、あくまで症状を引き起こしているのは脳の中の話であり、実際にADHDの症状を努力云々だけでどうにかなる問題ではないのが現状です。

私たちだって憂鬱なときに、幸せな気持ちになろうと思ってセロトニン(安定や幸福感に関係)を出そうとしたり、夜眠れない時にメラトニン(睡眠に関係)をコントロールしたり、そんなこと出来たら苦労しませんよね。リラックスしやすくしたり、風呂に入ったり、工夫することはできるかもしれませんがコントロールできないものです。

一方で落ち着きのなさなどの見た目に反して、集中できる場面も少なくないとされます。例えば、身体を止め続けることのみに精一杯になってしまい、人の話を聞くのは二の次になってしまうことがあります。つまり、時には動き続けている時の方が人一倍、話の内容を理解しているなんてこともあります。もちろんケースバイケースであることは付け加えておきます。

医療分野においては、神経伝達物質を薬で調整することによって症状の緩和が期待されるとして、ドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンに対し作用する薬が処方されています。ただ、症状の根本を療法する薬ではなく、症状を緩和するためのお薬として処方されるものとなります。もちろん、薬があることで、症状が落ち着き、本人様が集中しやすくなるのであれば、できることの幅も広がるかもしれません。もちろん、薬の合う、合わないがありますし、副作用などリスクが0ではないため、主治医や薬剤師との相談は必須となります。

ADHDは動きとして症状が見えてしまう分、どうしてもご本人様の苦手なところや、難しいところに対して周囲の目が向きやすくなってしまいます。だからこそ、その人が本来どういう人なのかに対して目を向けていただきたいなと感じます。

ここまで色々記載しましたが、同じ診断名であっても症状は一人一人異なります。そして症状以前に一人一人尊重されるべき人間です。何をすることが良いとは一概には言えませんが、まずは、今出来ているところ、良いところ、その人らしさを探すことが大切であるように思います。案外そういった点から、症状緩和のための糸口が見つかったりもします。

文責:高野

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